ひとりのおうち時間

大人の女に捧げる映画『彼女を見ればわかること』

女には事情があるの。観終わったあとにはそんな感想を言いたくなる「彼女を見ればわかること」。キャメロン・ディアス出演の1999年の映画です。低予算のインデペンデント映画にも関わらず、ハリウッドを代表する女優たちがその脚本に惚れ、忙しいスケジュールを無理にでも調整して出演を熱望したそう。今回はあらすじを一部ご紹介します。

週末は、おうちでゆっくり映画タイム。

今回、おすすめする名画は『彼女を見ればわかること』。
決して、男には理解できない女の事情が詰まったオムニバス映画。
胸をグッと掴まれる思いのする作品です。

彼女を見ればわかること という作品

低予算のインデペンデント映画にも関わらず、ハリウッドを代表する女優たちがその脚本に惚れ、忙しいスケジュールを無理にでも調整して出演を熱望したそうです。それほどまでに、彼女たちをひきつけたものは何なのか。5人の女優が演じることを熱望した5人の女の人生。それは、自分でも圧倒されるほどの孤独と痛み、そして見え隠れする希望の物語です。あらゆる人生の経験を経てもなお、女には分からないことが多すぎます。

アメリカでは、内容が地味だという理由で劇場公開はされず有料TVチャンネルでの放映になったそうですが、東京ではBunkamuraル・シネマで公開され、ロングランヒットとなりました。

確かに、男には全く理解できない世界ゆえ、万人受けする内容ではないでしょう。だから、大々的に公開されなかったのかもしれませんが、女として生きているなら、見るべき作品だと思います。

5人の女性の物語

1話「キーナー医師の場合」

主演:グレン・クローズ
年老いた母の介護をしながら生活している医師のキーナー。
痴呆の母との間に会話はなく、家の中はシンと静まり返っている。
これだと、心の声がうるさく響きそうだなと邪推してしまうほど。
その日、彼女は仕事を休んで母の介護をしながら何度もあるところへ電話をしている。
どうやら相手は想い人のよう。でも、彼はなかなかつかまらない。
そうしている内に、占い師のクリスティーンが訪ねてくる。
クリスティーンに、自分でもあまり認めたくない感情を当てられ複雑なキーナー。
果たして、彼女の恋はどうなるのか…。

2話「レベッカの贈り物」

主演:ホリー・ハンター
銀行の支店長をしているキャリアウーマンのホリー。彼女は、ある男性との不倫関係を長いこと続けていた。
そして、ある日妊娠していることに気づく。しかし、彼には出産を冷たく否定され、中絶を決意。
年齢的にも最後のチャンスかもしれないと医師に釘を打たれながらも、気持ちは変わらないと平静を装い続けるホリー。
しかし、頭では整理できていたとしても、押さえ込んでいた感情はもはやコントロールできなくなり…。
叫びだしたい気持ちとそれを吐き出す場所も相手もいない彼女の日常は、乾くことのない傷口を連想させます。

3話「ローズのための誰か」

主演:キャシーベイカー
教師をしながら童話を書く仕事をしているローズは、15歳の息子と2人暮らし。
ある日、向かいに越してきたアルバートに好意を抱きはじめるローズ。
多感な息子の言動や自分の恋心に戸惑いながらも、静かだった自分の心に芽生えたトキメクものを楽しんでいるように見えるローズに希望を見出せます。

4話「おやすみクリスティーン」

主演:キャリスタ・フロックハート
占い師のクリスティーンは、恋人のリリーと同棲している。
しかし、リリーは重い病気で死期が迫っていることを2人は分かっている。
ある昼下がりにリリーは、クリスティーンに2人の出会った日の話をしてくれとねだる。
クリスティーンは、頑なに嫌がるがしぶしぶ話はじめるのだった…。
そして、リリーよりも自分のほうが死を恐れている事に気づくクリスティーン。
目をそらしたい、でもそれを許してくれない恋人。感情移入するほどに、残されるものの恐怖に心が潰されそうになります。

5話「キャシーを待つ恋」

主演:キャメロン・ディアス
盲目の妹キャロルの世話をしながら2人暮らしをしている刑事のキャシー。
ある事件で、知り合いの女性の自殺を担当することに。
妹のキャロルは障害をものともせず、奔放にふるまう恋多き女性。キャシーは、そんな妹が時にうらやましいと思っていた。
キャシーが久しぶりのデートに出かけようとしたある夜、キャロルは自殺した女性のことを推測して話はじめるのです…。
そして、涙ながらに語る妹の姿に、彼女もまた傷つきやすい弱い存在なのだと私たちは思い知るのです。

最後に語られる、キャロルの言葉

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彼女の自殺の真相を推測するなんて
袋小路に疲れただけかも
返事のこない電話
守られない約束
同じ石につまずく自分
彼女の動機は分からない
それでいいのよ
女には事情があるの
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彼女を見れば分わかること。
果たして、私たちは彼女のことを本当に知っているのでしょうか?
彼女のもつ、深い孤独や痛みが見えている?

理解できるわけがないのです。

自分でも分からないのですから。
傷ついていることを認めるには、もう一度痛いと思わなければならない。
そんなことをする必要が本当にあるの?と。

さて、あなたは
5人の女性の誰に自分を重ね合わせるのか。
それぞれの女性の一部分に自分を見つけるのか。
女の数だけ物語があり、理解できない無数の傷が存在するのだと思います。

観終わった後は、少し心がザワザワしますが
女だから大丈夫です。きっと。

静かな休日。
あなたの週末にシネマを。

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『彼女を見ればわかること』
1999年制作
監督・脚本: ロドリゴ・ガルシア
出演:グレン・クローズ
   ホリー・ハンター
   キャメロン・ディアス
   キャリスタ・フロックハート
   キャシー・ベイカーほか
2000年カンヌ国際映画祭[ある視点]部門グランプリ作品
2000年サンダンスNHK国際映像作家賞受賞  
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