ひとりのお出かけ

醜悪だけれど美しい「うらめしや~、冥途のみやげ展」

憎悪、嫉妬、怨念、愛。幽霊と日本美術史で表現される”うらみ”を追う。2015年7月22日(水)~9月13日(日)の間に東京藝術大学大学美術館でやっています。

「かわいい」には死の要素はほぼない。「きれい」には少しある。「美しい」とは死と生の混濁だ。

引用: 武 盾一郎

普段多くの人が触れることのない、絵や物語の中だからこそ感じられる世界。

幽霊は、妖怪と違い元々は人間だとされます。
だからこそ、幽霊による死後の世界から現世への能動的で激しい感情の表現に、生きている私たちは“何か”を感じる。

また、作品の純粋な美しさと、死と生の混濁による美しさが存在するがゆえに私たちは惹かれるのではないでしょうか。

“この夏、史上『最恐』の美しさと出会う” ― 冥途のみやげ展 ―

明治の噺家三遊亭圓朝(1839-1900)がコレクションした幽霊画の全てを公開する「うらめしや~、冥途のみやげ 展 ―全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心に―」が開催されます。

浮世絵の歌川国芳、葛飾北斎、近代の河鍋暁斎、月岡芳年、上村松園などの名だたる画家の作品や能楽公演を通して、日本美術史ではいかに「うらみ」が表されてきたのかを辿ります。

会場には蚊帳や香華が置かれ、照明は至極抑えられています。
照明や小道具、音といった細部にまでこだわりが見える場内となっているようです。

注目はやはり、本記事の冒頭にも掲載の、上村松園『焔』。

源氏物語に登場する、六条御息所がモデルの作品です。
物分かりの良い大人の女性であったにも関わらず、愛ゆえに嫉妬に狂い生霊となってしまった女性。
その激情と美しさの共存に心奪われる作品です。

「焔」は私の数多くある絵のうち、たった一枚の凄惨な絵であります。
中年女の嫉妬の炎―― 一念がもえ上がって炎のようにやけつく形相を描いたものであります。 

引用: 上村松園作『画作について』

作品の蒐集者、三遊亭圓朝とは

出典:matome.naver.jp/odai/2132807118752648501

江戸時代末期から明治時代に活躍した落語家であり、本名は出淵 次郎吉。

落語家であり、歴代の名人の中でも別格に巧いとされる。また、多くの落語演目を創作した。

滑稽噺より、人情噺や怪談噺などで独自の世界を築く。「浮雲」で有名な二葉亭四迷も彼の影響を受けた。

併せて観たい関連イベント『能楽公演』

今回展示される能面である般若は、嫉妬や恨みの篭る女の顔や鬼女を表したものです。
イベントで公演される「鉄輪」もまた般若の面が使われ、女性の嫉妬心や恨みの恐ろしさを表現します。
絵画と合わせて鑑賞することで、よりディープな世界が覗けるかもしれません。

8月21日(金) 能楽公演
【本展開催記念能楽公演】 
第1部13:00~14:30 第2部15:30~17:00
出演:武田孝史(宝生流)、関根知孝(観世流)、宝生和英(宝生流)ほか
演目:能「鉄輪」、仕舞「藤戸」、独吟「砧」「葵上」ほか
会場:東京藝術大学音楽学部第4ホール
定員:各部80名
※参加料無料。ただし、本展の観覧券(半券可)が必要です。
 詳しくは下記URLをご参照ください。

展示会情報

期間:2015年7月22日(水)~9月13日(日)
※会期中、展示替えを行います。(前期展示:7月22日~8月16日、後期展示:8月18日~9月13日)

場所:東京藝術大学大学美術館 地下2階展示室
〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
JR上野駅(公園口)、東京メトロ千代田線根津駅(1番出口)より徒歩10分
京成上野駅(正面口)、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅(7番出口)より徒歩15分
JR上野駅公園口から台東区循環バス「東西めぐりん」(東京芸術大学経由)で4分、停留所「東京芸術大学」下車(30分間隔)
※駐車場はございませんので、車でのご来館はご遠慮ください。

時間:午前10時~午後5時 入館は閉館の30分前まで
(ただし、8月11日(火)、21日(金)は午後7時まで開館)
休館日:月曜日
入場料:(当日)一般 1,100円 高校・大学生 700円
    (前売)一般  900円 高校・大学生 600円


こちらの展示会は、2011年に公開予定だったものを震災の影響などを鑑みて今年開催となったもの。
4年越しの同展、ぜひ足を運んでみてください。

※展示会情報は、変更されている場合もあります。事前にご確認ください。