同じ作品をつくっていた友人に向けて、
「信愛なるミユミユへ、ティティからのお手紙だよ!」
と、おちゃめなお手紙を送ってみたり
自身の演奏会で事前に演奏中におしゃべりを続けてほしいとお願いするも、良い作品と演奏に観客が聴き入って黙ってしまい、
「おしゃべりしててって言ったでしょ!」
と怒っちゃったり
楽譜内に書かれた作曲者からの指示が、
「歯の痛い夜鳴きウグイスみたいに」
「朝出かけると 雨が降っている 太陽は雲の中 かなり寒い けっこう!」
と不思議なものだったり。
天才で奇人なエリック・サティ。
今回は、彼が主役の展覧会です。
「エリック・サティとその時代展」

”家具の音楽”を提案し有名な「ジムノペディ」や「Je te veux」の作曲者であり、かのドビュッシー、ラベルが影響を受けたと公言する、約100年前に活躍していた芸術家エリック・サティ。
その作品を彼の生涯とその中で交流していた芸術家たちとの関わりに焦点を当てた展覧会、「エリック・サティとその時代展」が、渋谷 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されます。
天才だけど奇人なエリック・サティとは

1866年生まれ。1925年没。
フランスの作曲家、ピアニスト。
20世紀初期のフランス音楽界において、大きな影響を及ぼしたとともに、第二次大戦後前衛作曲家たちに改めて評価され、現代音楽界にも影響を与えた。
反アカデミズム、反ロマン主義を貫く純粋な音楽精神の持ち主。
引用: http://tower.jp/artist/100037/Erik-Satie
印象派の祖と言われるドビュッシーも影響をうけていたり、坂本龍一など現代音楽にも大きく影響を及ぼしている傍ら、「変人」「奇人」と言われており、回顧録では自らを「音響計測者」と呼びました。
また“家具の音楽”とは“家具のように生活に溶け込んでいる音楽”のこと。
これはイージーリスニング、つまり作業用BGMであり、一番最初にこの概念を生み出したことから、彼はイージーリスニングの祖とされます。
現代では作業の傍らや通勤しながら音楽を聞くというのは当たり前となっていますが、昔は演奏が始まったら集中して聴くものというのが一般概念であった為理解されず、冒頭のエピソードが生まれたのです。
納得の変人っぷり...数々の逸話
ピアノの中に...

自宅にあった2台のグランドピアノのうち1台は普通のピアノ、もう1台はなんと中身が空っぽ。
で、変わりに入っていたのは手紙の山...!
タイトルは梨

ドビュッシーから「あなたの曲には形式というものが欠けている」と批判されて作った作品のタイトルは「梨の形をした3つの小品」。
形式があるのだとアピールするもなぜチョイスが梨なのでしょうか...?
フランス語で「梨」というと「まぬけ」を表す隠語。
なんと皮肉の利いたタイトルでしょうか。
世界一長い曲
彼の作品であり、世界一長い曲「Vexations(ヴェクサシオン)」。
一体どんな曲かというと、1フレーズを840回繰り返すという大作!
Vexations(ヴェクサシオン) は「いやがらせ」とか「癪の種」といった意味を持ちます。確かにいやがらせのようなリピート回数...。
このモチーフを連続して840回繰り返し演奏するためには、大いなる静寂の中で、真剣に身動きしないことを、あらかじめ心構えしておくべきであろう
引用: エリック・サティ
今回の展覧会はサティが関わってきた芸術家たちや周りの環境が時代ごとに分けられた、第1章から第5章で構成されています。
奇人と言われた彼の作品たちが、時代毎に周囲にどんな影響を与え、またどんな影響を与えられていたのかご注目ください。
さらに、開催期間中は老舗ベーカリーPAUL Japonとのコラボも。
限定シュークリームも併せて頂きたいですね。

出典:bluediary2.jugem.jp/?eid=4018
固めのシュー生地に、カスタードクリームをベースに、ホイップクリームをうず高くトッピング。
サティのエピソードにも登場するシュークリーム。
展覧会情報
場所:Bunkamuraザ・ミュージアム
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分
東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分
東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」3a出口より徒歩5分
時間:2015/7/8(水)-8/30(日)開催期間中無休
開館時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)、毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
休館日:開催期間中無休
入場料:一般 1400円 高校・大学生 1000円
※展示会情報は、変更されている場合もあります。事前にご確認ください。