ひとりのおうち時間

家族って不思議…。おすすめ映画『リトル・ミス・サンシャイン』

あなたがこの世にいるということは、父と母がいるということ。2006年に公開された「リトル・ミス・サンシャイン」。1年に数回は訪れる、家族との時間。その時間の前にぜひ観て頂きたい。親の情けない一面や子どもの背伸びした、それでいて等身大の姿、全てをさらけ出し合う「家族」の心あたたまるストーリー。

あなたは1年にどれくらい親兄弟との時間をもっていますか?

久々に実家に帰ると、最初は違和感があるものの1日もたてば昔のままの感覚に戻ります。
それは、きっとそこに住む家族が何も変わっていないから。

家族って、不思議です。

今回のおすすめの映画は、『リトル・ミス・サンシャイン』。
家族を想う作品です。

『リトル・ミス・サンシャイン』 という作品

あらすじ

ぽっちゃりで眼鏡をかけた女の子オリーヴの夢は、美少女コンテストで優勝すること。地方予選で繰り上げ優勝を果たしたオリーヴは、決勝大会へ出場することに。独自の成功論に取りつかれる父や母、自殺を図ったゲイの叔父フランク、無言の誓いをたてた兄と一緒に会場に向かうことになるのだが…。

みどころ

個性的な家族の悲劇な喜劇

バラバラだった家族がある出来事で一つになっていく…。
というあらすじだけざっくりみると、とてもありきたりなストーリーですが、この作品はちょっとクセが強くて一筋縄ではいきません。
まず、とにかく、家族ひとりひとりの個性が強い…!
人生の勝ちにひたすら拘泥する父親リチャードを筆頭に、母シェリルの前夫との子供15歳のドウェーンはパイロットの夢をどうしても実現させたいために、無言の誓いをたて一言も話さない。
シェリルの兄のフランクはゲイで恋愛のいざこざが原因で自殺未遂。
そして、リチャードの父エドウィンはヘロインの常用で老人ホームを追い出されるマジ悪オヤジ。
そんな家族に囲まれた7歳のオリーヴは、ぽっちゃり小太りで大きな丸眼鏡をかけながらも、美少女コンテスト『リトル・ミス・サンシャイン』に出ることを夢見ている。
正直、家族の個性がごちゃごちゃすぎてよく分からない始末。

そんな家族が、ひょんなことから『リトル・ミス・サンシャイン』への出場が認められたオリーヴと一緒にボロボロの黄色いワゴン車に乗り込んで、1287キロ先のカリフォルニアの会場を目指すことになるのです。

その道中、家族はたくさんの悲劇に見舞われます。

本当であれば、かなりヘコむこと間違いなしの出来事ばかりですが、何故かこの映画は重くならない。

それは、家族がいるから。なんて陳腐なことではなく、むしろ皆自分勝手だけどそれが家族じゃんって開き直れるカラッとした空気があるのです。

悲しい時に、慰めあわなくてもいいのがきっと家族なのです。それが、楽ちん。自分勝手でいい、唯一の居場所かもしれません。この家族を見ていると、そんなことにふと気づかされます。

負け犬への賛歌

どこからどう見ても負け組家族。
父親は人生の逆転をかけて手がけた商売も失敗してしまうし、お金がないからカリフォルニアへもボロボロのワゴン車で行かないといけない。
そして、負け組の最たる出来事が『リトル・ミス・サンシャイン』。
やっとの思いで会場についたオリーヴたちは、さっそく出場の用意を始めますが、周りには全国から集まった美少女たちがキレイに着飾り、大人顔負けの特技をステージ上で次々と披露していきます。
それを見ていたリチャードとドウェーンは、オリーヴが恥をかいて傷つくだけなのではと、怯んでしまいます。

さて、オリーヴはステージ上でどんなパフォーマンスを披露するのでしょうか。
愛らしくて実にこの家族らしいラストに注目です。
ダメっぷりが板についてるこの家族が起こす珍事は、勝ち組みへ見事に喧嘩をふっかけています。
喧嘩の勝敗はさておき、子犬がライオンに噛みつくような様にスカッとすること間違いなしです。

最後に、マジ悪オヤジことエドウィンの言葉を全ての負け組に捧げます。
「A real loser is somebody that’s so afraid of not winning, they don’t even try. 」
 “負け犬っていうのは、負けるのが怖くて挑戦しないやつらのことだ ”


勝ち負けとは、どうしても客観的に評価されがちです。
世間でいうところの負け組。みたいに。
でも、そんなのどうでもいいじゃないですか。
家族みんなが残念でも、まぁ、仕方ない。
親の情けない姿や子供の不器用さを知っているのは家族だからです。
それでも一緒にいるのが大事なこと。
何も知らない奴らには、言わせておけばいいのです。

さて、
季節が変わりはじめる休日。
あなたの週末にシネマを。

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『リトル・ミス・サンシャイン』
2006年公開
監督: ジョナサン・デイトン
   ヴァレリー・ファリス
脚本:マイケル・アーント
キャスト:アビゲイル・ブレスリン
     グレッグ・キニア
     ポール・ダノ  ほか
第79回アカデミー賞 脚本賞・助演男優賞受賞
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