ひとりのお出かけ

ビビッドで強烈な『ニキ・ド・サンファル展』国立新美術館/東京・六本木

パフォーマンス・アートの先駆者として美術史上に名を残すニキ・ド・サンファル。彼女の作品に溺れる人続出です。国立新美術館で12月14日まで開催中。

ビビットカラーに大胆な動きといったら”ニキ・ド・サンファル”

アーティストの作品には、さまざまな表現方法があります。
自分を投影したり、密やかなる想いを形にしたり、誰かへのオマージュだったり。

ビビッドカラーに大胆な動き、圧倒的な力を感じる作品が多いニキ・ド・サンファル。

彼女の作風は、年を追うごとに違った顔を見せてくれます。
何かに怒りそこからの脱却を願う気持ちが込められていたり、本来の姿を内から見つめた結晶になっていたり。そして、さまざまな人から受けた影響がダイレクトに表現されています。
その幅広い創造世界は底しれません。
10月29日はニキの誕生日。
このメモリアルな時期に、ぜひ彼女の世界を体感してみませんか。

ニキ・ド・サンファル という人

異色の経歴をもつニキ・ド・サンファル。
18歳からモデルとして働き始め、19歳で結婚、20歳の頃には娘のローラを出産。
その後、演劇学校に通いますが重度の精神疾患になってしまった彼女は、治療に効果があると絵画を制作することに。そして、それを機に芸術家を目指すことになります。
彼女の活動は、絵画制作にとどまらず彫刻や映画・舞台・建築・執筆と幅広いジャンルへと広がっていきました。

国立新美術館『ニキ・ド・サンファル展』

「戦争や人種差別への批判的な眼差しを向け、女性のあり方を主題とした作品が多い。」とい言われるニキ。今回の国立新美術館で展示される作品は、日本初公開作品も含め100点以上。
初期の作品から晩年までを追いかけた本展、そのみどころをニキの作風の変化とともにご紹介します。

射撃絵画

「射撃絵画」とは、絵具を入れた缶や袋をオブジェと共に支持体に付着させ、その上から石膏を塗り、出来上がったレリーフに向けて銃を放つことで作り上げられる作品でした。

引用: http://www.niki2015.jp/point/point1.html#link


1961年に発表された「射撃絵画」は、ニキを一躍有名にした作風。
絵筆の代わりに銃を使うという、凡人には思いもよらない発想で絵画の世界だけでなく世にその名を広めていきました。
彼女の「射撃絵画」は絵画といえど、彫刻のような立体をもつものもあり、飛び散る色彩は独特です。
また、ヌーヴォー・レアリスムの運動に唯一女性として参加していたニキにとって、伝統的なことと決別して制作過程すらもパフォーマンスとして魅せるという意味を加えたのです。

女性という性

1968年 250x160x50cm
塗料/ポリエステル
ニキ芸術財団、サンティー(協力:ジョルジュ=フィリップ&ナタリー・ヴァロワ・ギャラリー、パリ)
©André Morin/Courtesy Galerie GP & N Vallois

1968年頃 13.8×12.3×12.1cm
ビニール塗料、色鉛筆、ポリエステル
Yoko増田静江コレクション
撮影:黒岩雅志


射撃絵画から離れた彼女は、「女性」の社会的な役割を強く意識した作品にとりかかるようになります。
その代表的な作品に「ナナ」シリーズというのがあります。このシリーズでも、従来の形にははまらず、それまでの西洋美術で描かれていた女性像とは全く違った形で表現されています。
それは、大胆で躍動的。力強い曲線にカラフルな色使い。ずっしりとした重厚感があるのに、しなやかさを併せもっているのはまさに女性。そして、全ての要素が自由を思わせ、必死に殻を破ろうとしているように感じてなりません。圧倒的な動きを感じる中に、曲線が多く使用されていることで女性としての柔らかさの生命をも感じます。

世界から得た精神性

1999年 317.5×218.4×172.7cm
天然石、色ガラス、セラミック、FRP、鋼
Yoko増田静江コレクション
撮影:林 雅之

1982年 80×40×30cm
ビニール塗料、色鉛筆、オイルパステル、ポリエステル
Yoko増田静江コレクション
撮影:黒岩雅志


世界各地で重んじられている宗教の精神世界にも非常に関心があったというニキ。ヒンドゥー教の神であるガネーシャやキリスト教の思想、メキシコで目にした骸骨など。実に様々なものからインスピレーションを受けているニキの作品は、やはり形にはまりません。どこまでも自由で表現の幅が広いのにその受け皿もまた深いという厚みのある作品ばかりです。
そして、交流のあった故Yoko増田静江氏を通じて日本の仏像にも影響を受けたというニキは3メートルを超える巨大なブッダ像も作っています。
いずれにしろ、全く違う文化であっても自分のフィルタを通して表現し続けた彼女の作品は、どこまでも彼女らしく、それでいてどこまでも新鮮なままなのです。

タロットガーデン

2002年 Yoko増田静江コレクション
撮影:黒岩雅志
© Fondazione Giardino dei Tarocchi


ガウディに影響を受け、建築に強い憧れを抱いたニキが手掛けた「タロットガーデン」。その名の通りタロットカードをモチーフにした彫刻をはじめ、ニキがこれまで影響をうけたものから着想を得た作品が数多く設置された彫刻公園です。ニキは、晩年もこの公園に情熱を傾け続けたそうです。
イタリアにあるタロットガーデンは、現在、4月から10月の限られた期間のみ一般に公開されているそうです。本展においてその一端を垣間見れるだけでも価値のある時間ではないでしょうか。

ニキウィーク 10/24-10/30

10月29日はニキの誕生日。
これに合わせて国立新美術館では、この期間さまざまなイベントやワークショップを開催しています。その週以外でも、講演会なども開催予定のようです!日本との交流も深かったニキのお話が聞けるかもしれませんよ。
興味がある方は、こちらもぜひチェックしてみてください。

展覧会情報

『ニキ・ド・サンファル展』

場所:国立新美術館 企画展示室1F
   東京都港区六本木7-22-2
期間:2015年9月18日(金) ─ 12月14日(月)
休館:毎週火曜日
   ※ただし11月3日(火)は開館、11月4日(水)は休館
時間:午前10時~午後6時
   ※金曜日は午後8時まで
   ※入場は閉館の30分前まで

※展示会情報は、変更されている場合もあります。事前にご確認ください。