ひとりのおうち時間

大人になった今、もう一度。おすすめ映画『レオン』

リュックベッソンの傑作映画『レオン』。「あなたが大好き!」という恋愛とはまた違った、愛の形。純粋でまっすぐ、なのに曲がっているから美しい。その世界を大人になった今もう一度見なおしてみませんか。

雨が降ったり気温が下がったり、
かと思えば、かんかん照りの太陽が昇って温度が急上昇したり。
天気はいつも不安定ですね。

それと同じように人の心もホントに移り気。
誰かを想えばなおさら。
激しい雨は突然降るものです。

今回おすすめする映画は、せつない愛の物語『レオン』です。
思う存分、心揺さぶられてください。

『レオン』 という作品

あらすじ

ニューヨークのアパートで暮らす、寡黙な男レオン。実は、彼の正体はすご腕の殺し屋で、トニーという男の仲介を経て暗殺を行っていた。ある日、彼の隣室にクラス一家がスタンフィールドとその部下たちによって斬殺される。その時、たまたま外出していた12歳の娘マチルダは、家に戻ってくるが手前でその異変に気づき、レオンの部屋へ救いを求めに。彼女をかくまうことにしたレオンとマチルダの共同生活が始まるが…。

みどころ

『フィフス・エレメント』や『アーサーとミニモイの不思議な国』、最近では『ルーシー』を手掛けたリュック・ベッソンが初めてアメリカで制作した映画が『レオン』。主演のジャン・レノ、まだ少女だったナタリー・ポートマン、そしてイカれた役が似合うゲイリー・オールドマンの3人が見事な演技を見せ、この映画を彩っています。

女と男

『レオン』という作品は、アクションやバイオレンス映画と表現されることが多いですが(というよりもリュック・ベッソン自身がこれはアクション映画と公言しています)、この話の軸はやはり純愛、つまりラブストリーではないかと思う。もちろん、ドンパチやるアクション要素も多分に強いですが、それよりもこの作品がこれほど有名になったのは、レオン(ジャン・レノ)とマチルダ(ナタリー・ポートマン)のピュアな愛の物語が感動的だったからです。歳の離れた2人の気持ちは恋愛というにはあまりに浅はかな気もしますが、でも明らかに女と男の物語。かたや殺し屋、かたや家族全員を殺された少女、孤独が日常を埋め尽くす2人が少しずつ心を寄り添わせていく、ひとつひとつのシーンにときめいてしまいます。
それは、あまりにも二人が危うくてピュアだからです。

レオンは殺し屋という職業をしているが故に、世間との関わりもなく唯一の友達は観葉植物。マチルダは、麻薬の密売をしていた父と継母、腹違いの姉からは虐待を受け、愛されるということもなく育った少女。この2人においては、レオンはやはり心が育たず少年のままであり、むしろ人生に疲れてしまっているマチルダの振る舞いの方が大人。そして、奔放で時に妖艶さを醸し出す、まぎれもない「女」なのです。女って本当、幼い頃から「女」なのですね。この微妙なバランスが2人の関係を上手く構築していきます。

そして、とにかく幼き日のナタリー・ポートマンがかわいすぎます…!これは、男ならずとも女をも降伏させかねない美貌です。

レオンに恋をしたと告げるマチルダ。戸惑うレオン。徐々に近づいていく2人の距離は、恋とも愛ともつかず、私たちの心もギューっとなるのです。

善と悪

マチルダは大して愛してもいなかった家族を殺されることに悲しみはしませんでしたが、唯一イノセントな存在であった4歳の弟が殺されたことにだけは心を痛め、復讐を決意します。レオンから殺しのレッスンを受ける事になるマチルダ。
この物語に「善」は登場しません。世間体で考えれば全てが悪なのです。麻薬・殺し屋・復讐・汚職、まぎれもない悪と悪の戦いです。でも、きっとそれがこの映画のもう一つの良さなのではないかと思います。この話の中で絶対的な正義など登場すれば興ざめです。その少しジメーッとした雰囲気がこの作品のストーリーと見事にマッチして素晴らしい演出効果になっています。

そして、なんと言ってもゲイリー・オールドマンの悪役(悪すぎるけど、カッコいいんですよね…。くそぅ!)。頭が狂ってる表情と動きを演じさせれば、ピカイチですね。まさに名優です。この狂気が強烈な毒として、物語を盛り上げてくれます。

この映画の中で、善が存在するとすれば誰かを想う真っ直ぐな気持ちでしょうか。
2人の辿る運命。
感涙必死のラストまで、2人と一緒に疾走してください。
見終わったあと、きっとため息がでます。
そんな映画です。


純粋な心。
どこで落としちゃったんでしょうか。
大人になっても子供の私たち。
子供の頃の方がまともだった私たち。
誰かを想うという気持ちさえ、簡単に歪めてしまう人生経験。
まったく厄介です。
ちょっと、心を浄化して素直になりたい時。
ぜひ、おすすめです。

現実から解放されたい休日。
あなたの週末にシネマを。

=======

『レオン』
1996年公開
監督・脚本:リュック・ベッソン
出演:ジャン・レノ
   ナタリー・ポートマン
   ダニー・アイエロ
   ゲイリー・オールドマン ほか

=======