「男はつらいよ」とは
日本人なら誰もが知ってる“フーテンの寅”さん。
「私、生まれも育ちも葛飾柴又です
帝釈天で産湯使いました
根っからの江戸っ子
姓名の儀は車寅次郎
人呼んでフーテンの寅と発します」
映画『男はつらいよ』は、これぞ日本!という美しい風景と義理人情がちりばめられた作品。
今回は、この映画から日本人なら知っておくべき江戸っ子魂に溢れる言葉を紹介したいと思います。
今、失われつつある郷愁。
隣近所との関わり。
家族との会話。
開かれた小さなコミュニティー。
人生ってこんなに素晴らしいと気づいていただければ幸いです。

映画『男はつらいよ』シリーズ

出典:https://www.tora-san.jp/movie/
映画シリーズとしては、1968年に第一作目が公開されてから1995年までに全48作制作されています。
原作・脚本:山田洋次
監督:山田洋次、第三作は森崎東、第四作は小林俊一
出演:渥美清 、倍賞千恵子、前田吟、三崎千恵子
ストーリー展開は、毎回ほぼ変わらず。
テキ屋稼業で旅を続ける寅さんが、旅先で出会うマドンナに恋をするも結局は失恋してしまう。それに、久しぶりに家に帰ったと思ったら問題ばかり起こして、てんやわんやなるという展開。
まっとうな仕事に着かず、フラフラしている寅さんが言うからこそ妙に可笑しくて説得力があるセリフが多く、人間の不器用さとか悲しさ、江戸っ子の粋を感じるられるのがとても魅力的です。
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素敵なセリフの多い『男はつらいよ』。名言を集めた本も2冊発行されています。気になる方はぜひ手に取ってみてください!

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寅さんの、一丁前な恋や愛のアドバイス
恋愛に関しては、からきしダメな寅さんも他人へのアドバイスは一丁前。
でも、よくよく考えてみたら自分ができもしないことを偉そうにアドバイスしてしまったりするんですよね、みんな。それがまた、人間らしくて憎めない寅さんの人柄を存分に表しています。
(第33作:夜霧にむせぶ寅次郎)
大声出してのたうち回るような、恥ずかしくて、死んじゃいたいような恋をするんだよ
(第47作:拝啓車寅次郎様)
(第43作:寅次郎の休日)

あぁ、可哀想に。
(第29作:寅次郎あじさいの恋)
本当にそれでいいのか。
(第26作:寅次郎かもめ歌)
さすが失恋の猛者。直球な言葉の中に、哀愁さえ感じる雰囲気がありますね。「恋は苦しいけど、愛があれば幸せだろ」ってことでしょうか。一筋縄ではいかない醍醐味がございます。
寅さんは、孤独とはお友達

歩いてるうちに風が吹き飛ばしてくれらぁ。
(第44作:寅次郎の告白)
ふと夢に見るのはふるさとのこと。
お笑いくださいまし。
(第6作:純情編)
花に風、
一寸先の己が運命
わからないところに
人生の哀しさがあります。
(第7作:奮闘編)
テキ屋稼業でひとり全国を転々と渡り歩く寅さんは、新たな出会いと同じだけ孤独とも友達。それでも、やっていけるのは、やっぱり家族の存在。帰る家があるというのは本当に幸せなことです。だから寅さんは好きなことをしていられる。自分の人生を満喫できている。家族への感謝・恩は生きているうちに返せないというのも納得です。でも、上手にそれを家族に示せない寅さんもまたいじらしいのです。
寅さんは、人生という旅をゆく
(第41作:寅次郎心の旅路)
冬の次は
春ですか
(第40作:寅次郎サラダ記念日)
口の中で、うんこになりますよ。
(第34作:寅次郎真実一路)

大事な時に!
(第29作:寅次郎あじさいの恋)
決してもう醜くねえって。
(第42作:ぼくの伯父さん)
この感覚的な物言い、いいですね。頭で考えるというよりも感情で考える寅さん。学がないということがまた人生を分かりやすくしているのかもしれません。「大事なことは、理屈じゃない!」グチグチ言うんじゃない!本能のまま。気の向くまま。なるようになるさと、まさに寅次郎イズムです…!何かに囚われないというのは、実に爽快で身軽になれるものですね。
俺は旅人だからな、という寅さんの有名なセリフでシメ!
「俺は旅人だからな、
風の吹くまま気の向くまま。
歩きながら考えるさ。」
寅さんの有名なこのセリフ。
人生短いけれど、生きてる側からすれば長い。
もっと肩の力を抜いて、流されるまま生きるのもいいんじゃないの。
そう語りかけられてるようです。
これが寅さんの生き様。
江戸っ子の心意気。
良き時代の日本人の心を写す鏡のような作品です。
