ひとりのお出かけ

【兵庫県立美術館】秘密を愛した画家『パウル・クレー だれにもないしょ。』展/兵庫

極上の謎解きアート。深い精神性と芸術の共鳴です。

現在、兵庫県立美術館で開催中の『パウル・クレー だれにもないしょ。』特別展。
20世紀を代表する画家パウル・クレー。一言では表現しえない独特な色使いは、原色をあまり好まない日本文化にマッチしているよう。少し親近感の湧く彼の作品には、しかし簡単には解けない「秘密」がいっぱい。

その隠されたメッセージを知りたいと思いませんか?

パウル・クレー(1879-1940)

スイスに住む音楽家の両親のもとに生まれたパウルは、彼自身もヴァイオリンを習い、ベルンのオーケストラメンバーに選ばれるほどの腕前でした。それと同時に、彼は絵を描くことにも熱心でした。彼に最初に絵を教えたのは祖母だったといわれています。その後、ミュンヘンの美術学校へ入学し、6年後にはピアニストのリリーと結婚。主にリリーが家計を支え、まだ芽の出ていなかったクレーは家事全般を担当しながら絵を描く生活を送っています。転機は第一次世界大戦時、ドイツ兵として従軍していた彼がなお絵を描き発表し続けいていた頃、作品の評価が高まっていったのです。

『パウル・クレー だれにもないしょ。』展

秘密を愛していたと言われるクレー。近年の研究で作品の下塗りの層や裏側に、もうひとつ別のイメージを意図的に埋め込んでいることなどが明らかになっています。本展の展示構成におけるキーワードは「秘密」。時系列ではなく、6つのテーマごとに導かれるクレーの奇蹟から、その思考や創作スタイルを感じてみてください!

日本初公開31点を含む110点あまりを展示。その中には、クレー自身が「特別クラス」として高値を付けたり、非買とした作品40点も展示されています。

6つのテーマ

6章で構成される展示から気になる章をピックアップしてご紹介します!

第1章「何のたとえ?」、第2章「多声楽(ポリフォニー)―複数であること」

矢印や音楽記号などが用いられることが多かったクレーの作品。その中で気になるのは「フェルマータ」という音楽記号。これは、演奏者の感覚で自由に音を伸ばすことができるという意味のもの。このフェルマータをモチーフにした絵が散見されるのです。音楽家としての一面を持っていた彼ならではあるが、一筋縄では解説できない意味が含まれているようです。

第3章「デモーニッシュな童話劇」

この章で展示されている「窓辺の少女」、一見柔らかな色使いの穏やかな絵にみえますが、実は大きな一枚絵を切断した一部だったことが近年になって判明しました。切断されたバラバラの絵をあわせるとそこに現れるのは、第一次世界大戦の荒れはてた風景だったのです。少しゾッとするような「秘密」がここにも。本来の絵をバラバラに切断するという行為にも考えさせられます。

第6章「愚か者の助力」

不治の病にかかり体の自由を奪われたクレーが、それでも線画で描き続けた作品群。それまでの作風とは違って、どこかコミカルで軽快なタッチの雰囲気です。かなりの猫好きだったというクレーが描く鳥と猫の追いかけっこなど、少し滑稽な構図の作品も多い。

展覧会情報

会期:2015年9月19日(土)-11月23日(月・祝)
時間:午前10時~午後6時(金・土曜日は午後8時まで)
   入場は閉館30分前まで
休館:毎週月曜日(ただし10月12日、11月23日は開館、10月13日(火)は休館)
料金:一般 1,400円


「秘密」が多いクレー作品。多くの人がその謎を解説しているが、果たして本当のところはどうなのでしょうか。深い精神性と音楽家としての顔をもつ彼が描く世界。あなたもぜひ、一流の謎解きツアーに参加してみてはいかがでしょうか。

※展示会情報は、変更されている場合もあります。事前にご確認ください。